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「急に変わった、」思春期の心の変化
Vol.288メンタルヘルス

「急に変わった、」思春期の心の変化

思春期の心の変化は脳の発達の結果であり、正常な発達プロセスの一部です

メンタルヘルス6〜12歳7
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 6·Q&A 5問収録

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この記事のポイント

  • 思春期の心の変化は脳の発達の結果 [1]
  • 前頭前野は25歳頃まで発達が続く [1]
  • 反抗は自立のプロセスであり正常な発達の一部

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.288

「急に変わった、」思春期の心の変化

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「急に口をきかなくなりました」「何を考えているのかわかりません」、思春期のお子さんの変化に戸惑う保護者の方は多いです。思春期は身体的にも精神的にも大きな変化が起こる時期であり、心の不安定さは正常な発達の一部です [1]。しかし、正常な変化と病的なサインの見分け方を知っておくことは重要です。

Q1.「思春期の心の変化は正常ですか?」

——中学生の娘が急に不機嫌になりました。反抗期ですか?

思春期の感情の変動は脳の発達の過程で生じる正常な現象です [1]

思春期の脳の変化心への影響
扁桃体(感情の中枢)が活発化感情の振れ幅が大きくなる [1]
前頭前野(理性の中枢)は発達途上衝動のコントロールが未成熟 [1]
ドパミン系の変化新奇追求、リスクテイキングが増す [2]
社会脳ネットワークの発達仲間の評価に敏感になる [2]
思春期の正常な変化
親よりも友人関係を重視する
プライバシーを求める
感情の振れ幅が大きくなる
自分のアイデンティティを探す
親に反抗的な態度をとる
外見を気にする

ポイント

  • 思春期の心の変化は脳の発達の結果 [1]
  • 前頭前野は25歳頃まで発達が続く [1]
  • 反抗は自立のプロセスであり正常な発達の一部

Q2.「正常な変化と病的なサインの見分け方は?」

——どこまでが正常で、どこからが心配すべきですか?

以下の表で見分けの目安を示します [3]

正常な思春期の変化注意が必要なサイン
時々イライラする常にイライラ、怒り爆発が頻繁
一時的に成績が変動著しい成績低下が続く
友人関係の変化がある友人との交流を完全に避ける
部屋にこもることがある2週間以上引きこもる
親に口答えする暴力、器物損壊
気分の浮き沈みがある「死にたい」という発言
外見を気にする極端なダイエット、食行動の異常
受診の目安
気分の落ち込みやイライラが2週間以上続く
登校できない状態が続く
自傷行為がある
「死にたい」という言葉を言う
薬物やアルコールの使用
食行動の異常(極端な制限、過食嘔吐)
睡眠の大きな変化(不眠、過眠)

ポイント

  • 一時的な変化は正常、持続する変化は要注意 [3]
  • 2週間以上の持続が一つの目安
  • 「死にたい」や自傷は必ず専門家に相談

Q3.「思春期のメンタルヘルスリスクは?」

——思春期に発症しやすい精神疾患はありますか?

思春期は多くの精神疾患の好発時期です [4]

思春期の有病率

うつ病
約3〜8% [4]
不安障害
約6〜20% [4]
摂食障害
約1〜3% [4]
自傷行為
約10〜20% [4]
物質使用障害
増加傾向 [4]
統合失調症
約0.5% [4]

特徴

うつ病
女子に多い、イライラとして現れる
不安障害
社交不安が増加
摂食障害
14〜19歳がピーク
自傷行為
感情調節の手段として
物質使用障害
アルコール、大麻等
統合失調症
10代後半〜20代前半に好発
思春期のメンタルヘルスに影響する要因
SNS・インターネットの影響(比較、いじめ) [5]
いじめ(被害者も加害者もリスク)
学業プレッシャー(受験、成績)
家庭環境の変化(離婚、引越し)
性の問題(アイデンティティ、恋愛)

ポイント

  • 精神疾患の約50%は14歳までに、75%は24歳までに発症 [4]
  • 思春期は早期発見・早期介入の最も重要な時期
  • SNSの過度な使用がメンタルヘルスに影響 [5]

Q4.「思春期の子どもとどう関わるべきですか?」

——何を言っても反抗されて、関わり方がわかりません

思春期の親子関係で大切なのは距離感の調整です [6]

推奨される関わり方具体的な方法
聴く姿勢を持つアドバイスより共感を優先
プライバシーを尊重部屋のノック、日記を見ない
信頼を示す段階的に自由と責任を与える
存在を示す干渉しすぎず、いつでも話せることを伝える
食卓を共にする家族の食事時間を確保する
避けるべき関わり方
子ども扱いする
過去の失敗を繰り返し持ち出す
友人関係を批判する
スマホを勝手にチェックする
比較する(「○○さんの子は〜」)

「反抗期の子どもが求めているのは、干渉でも無関心でもなく、"見守り"です [6]。」

ポイント

  • 聴く姿勢がコミュニケーションの基本 [6]
  • 干渉と放任の間の適度な見守りが理想
  • 「いつでも話を聴くよ」というメッセージを送り続ける

Q5.「思春期のメンタルヘルスを守るためにできることは?」

——思春期のメンタルヘルスを守るために親ができることは?

予防的な関わりが重要です [6]

保護因子具体的な実践
安定した家庭環境予測可能で安全な家庭を維持
開かれたコミュニケーション感情について話せる雰囲気作り
十分な睡眠中高生は8〜10時間が推奨 [5]
身体活動定期的な運動はメンタルヘルスに有効 [5]
スクリーンタイムの管理SNSの使用時間について話し合う [5]
相談先を知っておくSC、かかりつけ医、相談窓口
思春期のメンタルヘルスに関する相談窓口
かかりつけ小児科
スクールカウンセラー(SC)
子ども家庭支援センター
チャイルドライン:0120-99-7777(18歳以下)
よりそいホットライン:0120-279-338

ポイント

  • 睡眠、運動、食事の基本が心の健康の土台 [5]
  • スクリーンタイムの管理は親子で話し合う [5]
  • 相談先を事前に把握しておくことが安心につながる

今号のまとめ

  • 思春期の心の変化は脳の発達の正常な過程
  • 一時的な変化は正常、2週間以上の持続は要注意
  • 精神疾患の約50%は14歳までに発症する
  • 親の関わりは干渉でも放任でもなく"見守り"
  • 睡眠・運動・コミュニケーションが予防の基本

あわせて読みたい

  • Vol.279「子どものうつ病」
  • Vol.280「子どもの不安障害」
  • Vol.284「摂食障害」
  • Vol.285「自傷行為」
  • Vol.287「レジリエンスの育て方」

ご質問・ご感想

「思春期の子どもとの関わりが難しい」「正常な変化と病的なサインの区別がつかない」など、ご質問がございましたらお気軽にお寄せください。

愛育病院 小児科 おかもん先生

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