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外来でいちばん多いご相談が「うちの子、言葉が遅い気がするんです」というもの。1歳半健診の前後で急に気になりだす方がとても多いです。今号では、最新のエビデンスをもとに「いつから心配すべきか」をまとめます。
どれくらい遅いと「late talker」なのですか#
言葉の発達がゆっくりな子(late talker)は、24ヶ月時点で表出語彙が50語未満、または2語文が出ていない子を指すのが一般的です [1]。人口ベースの研究では、有病率は10〜15%程度と報告されています [1]。
大事なのは「late talkerの約半数は3歳までに定型発達群に追いつく」という事実です [2]。一方で、残り半数は発達性言語障害(DLD)など、何らかの言語面の課題が残ることもわかっています [2]。つまり、「待てば大丈夫」でも「必ず問題」でもない、グラデーションのある現象だということです。
月齢ごとの目安を教えてください#
WHOや米国小児科学会(AAP)、そして日本の乳幼児発達スケール(KIDS)を総合すると、次のような目安になります [3][4]。
| 月齢 | 期待されるマイルストーン | 気になる状態 |
|---|---|---|
| 12ヶ月 | 「ママ」「まんま」など有意語が出始める | 喃語も少ない |
| 15ヶ月 | 有意語が3〜5語、指さしが出る | 指さしなし・有意語ゼロ |
| 18ヶ月 | 有意語10語程度、「ちょうだい」で渡せる | 有意語ゼロ、指示が通らない |
| 24ヶ月 | 2語文(「ママ きた」など) | 有意語のみ、2語文なし |
| 36ヶ月 | 簡単な会話のキャッチボール | 何を言っているかわからない |
月齢
12ヶ月
期待されるマイルストーン
「ママ」「まんま」など有意語が出始める
気になる状態
喃語も少ない
月齢
15ヶ月
期待されるマイルストーン
有意語が3〜5語、指さしが出る
気になる状態
指さしなし・有意語ゼロ
月齢
18ヶ月
期待されるマイルストーン
有意語10語程度、「ちょうだい」で渡せる
気になる状態
有意語ゼロ、指示が通らない
月齢
24ヶ月
期待されるマイルストーン
2語文(「ママ きた」など)
気になる状態
有意語のみ、2語文なし
月齢
36ヶ月
期待されるマイルストーン
簡単な会話のキャッチボール
気になる状態
何を言っているかわからない
特に注意したいのが「18ヶ月で有意語ゼロ」「24ヶ月で2語文なし」という線です [3]。USPSTFの2024年のレビューでも、この2つは受診の目安としてしばしば引用されています [4]。
「様子を見ましょう」と言われたけれど不安です#
とても多いご相談です。ここではっきりお伝えしたいのは、「様子を見る」は「何もしない」ではないということです。日常でできることはたくさんあります。
- テレビ・動画は視聴時間を短く、代わりに絵本の読み聞かせを増やす
- 子どもの発した音に応答する(「わんわんだね」と返す)
- 指さしを真似る、物の名前をゆっくり伝える
- 聞こえのチェック(ささやき声で振り向くかなど)を意識する
受診の目安と、連れて行くときの準備#
次のいずれかが当てはまるなら、かかりつけ小児科にご相談ください [3][4]。
- 18ヶ月で有意語がゼロ
- 24ヶ月で2語文が出ない
- 指さし・バイバイなどの身振りがほとんどない
- 呼びかけへの反応が鈍い
- いったん出ていた言葉が消えた(折れ線型)
受診時には、母子手帳と「日常の動画」を持っていくと話が早いです。診察室ではお子さんが緊張して普段と違う行動をとることが多いからです。
今号のまとめ#
- late talkerは全体の10〜15%、約半数は3歳までに追いつく
- 18ヶ月で有意語なし、24ヶ月で2語文なしは一つの目安
- 「様子を見る」と「何もしない」は違う。関わり方を工夫しながら経過を見る
- 折れ線型・聞こえの心配・他の発達も遅いときは早めに相談を
愛育病院 小児科