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「おしりにニキビみたいなものができて、どんどん大きくなりました」「とびひかと思ったけど、もっと深いところに膿がたまっているようです」、お子さんの皮膚に赤く腫れた"できもの"ができると心配ですよね。今回は、毛穴の感染症である毛嚢炎と、それに関連する細菌性皮膚感染症についてお話しします。とびひ(伝染性膿痂疹)については Vol.52 でお話ししましたので、あわせてご覧ください。

毛嚢炎ってどんな病気ですか? ニキビとは違うのですか?#
3歳の娘のおしりに赤いプツプツができています。ニキビでしょうか?
おしりにできた赤いプツプツは、毛嚢炎(もうのうえん)の可能性が高いです [1]。毛嚢炎は毛穴(毛包)に細菌が感染して起こる炎症で、毛穴を中心に赤い丘疹や小さな膿疱ができるのが特徴です [1]
毛嚢炎
毛嚢炎は軽症なら自然に治ることもありますが、悪化すると感染がより深部に及んで癤(せつ:おでき)になります [1]。さらに複数の癤が融合すると癰(よう)と呼ばれる状態になり、強い痛みと発熱を伴います [1]

癤(おでき)ができました。自分で潰していいですか?#
子どものわきの下に大きな赤い"おでき"ができて、中に膿がたまっているようです。自分で潰して膿を出したほうがいいのでしょうか?
ご自宅で潰すのはおすすめしません [1][4]。不適切な排膿は感染を周囲に広げたり、より深部に押し込んだりするリスクがあります [4]
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温罨法のやり方は簡単です。清潔なタオルをお湯で温めて、癤の部分に15〜20分間当てます。これを1日3〜4回繰り返すと、膿が表面に集まり自然に排出されることがあります [4]。ただし、2〜3日で改善しない場合や、腫れが3cm以上に広がる場合は受診してください
癤が繰り返しできるのですが、何か原因がありますか?
繰り返す癤(反復性癤腫症)の場合、鼻腔内の黄色ブドウ球菌保菌が原因のことがあります [5]。黄色ブドウ球菌は健康な人の約30%の鼻腔に常在しており、ここから皮膚に菌が移動して感染を繰り返すのです [5]。この場合、ムピロシン軟膏(バクトロバン)を鼻腔に塗布する除菌治療が有効です [5]

MRSA って何ですか? 子どもにも関係ありますか?#
ニュースで"MRSA"という言葉を聞いたことがあります。病院で感染する怖い菌ですよね? 子どもにも関係あるのでしょうか?
以前は"MRSA=病院の中で広がる菌"というイメージが強かったのですが、近年は入院歴のない健康な子どもの皮膚感染症からもMRSAが検出されるケースが増えています [5][6]。これを市中感染型MRSA(CA-MRSA)と呼びます [6]
ただし、すべての皮膚感染症がMRSAというわけではありません [5]。CA-MRSAを疑うのは、通常の抗菌薬で改善しない場合や、急速に悪化する膿瘍がある場合です [6]。膿がたまっている場合は切開排膿と培養検査を行い、原因菌を確認してから適切な抗菌薬を選択します [5][7]
予防法はありますか?
基本的な衛生対策が最も大切です [7]。こまめな手洗い、傷口の清潔保持、タオルや衣類の共有を避けることです。保育園での集団感染が疑われる場合は、園と連携して対策を行います [7]

蜂窩織炎(ほうかしきえん)という診断を受けました。どんな病気ですか?#
子どもの足がすごく赤く腫れて、触ると熱い感じがして、受診したら"蜂窩織炎"と言われました。怖い病気でしょうか?
蜂窩織炎は皮膚の深い層(真皮〜皮下組織)に細菌が侵入して広がる感染症です [8][9]。毛嚢炎や癤が毛穴を中心とした局所的な感染であるのに対し、蜂窩織炎は境界が不明瞭な広範囲の発赤・腫脹・熱感・疼痛が特徴です [8]
癤(せつ)
- 感染の深さ
- 毛包〜毛包周囲
- 見た目
- 毛穴を中心とした限局した腫脹
- 膿の有無
- 中心に膿がたまる
- 原因菌
- 黄色ブドウ球菌
- 全身症状
- 通常なし
- 治療
- 局所ケア±抗菌薬
蜂窩織炎の治療は抗菌薬が中心です [9]。軽症なら内服抗菌薬(セファレキシンやアモキシシリン/クラブラン酸など)で治療しますが、発熱がある・広範囲に広がっている・顔面に及んでいる場合は入院して点滴抗菌薬が必要になることがあります [9]
| すぐに受診(当日) | 救急受診 |
|---|---|
| 皮膚の赤み・腫れが急速に広がる | 高熱(39℃以上)+皮膚の赤み・腫れ |
| 触ると熱い・痛い | 赤みの範囲をペンで印をつけたら数時間で広がった |
| 発熱を伴う | ぐったりしている |
| 目の周りが赤く腫れた | 赤い線が体の中心に向かって広がる(リンパ管炎) |
すぐに受診(当日)救急受診
皮膚の赤み・腫れが急速に広がる
高熱(39℃以上)+皮膚の赤み・腫れ
触ると熱い・痛い
赤みの範囲をペンで印をつけたら数時間で広がった
発熱を伴う
ぐったりしている
目の周りが赤く腫れた
赤い線が体の中心に向かって広がる(リンパ管炎)
赤みの範囲をペンで縁取っておくと、広がっているかどうかが客観的にわかります [9]。自宅で経過観察している場合にこの方法が役立ちます

皮膚の"できもの"で受診すべき目安を教えてください#
皮膚にできものができたとき、様子を見ていいのか、すぐ病院に行くべきなのか、いつも迷います。判断の目安を教えてもらえますか?
とてもよいご質問です。皮膚の細菌感染症を自宅で経過観察できる場合と受診すべき場合の判断基準をまとめますね [1][4][8][9]
| 状態 | 対応 |
|---|---|
| 毛穴を中心とした小さな赤い丘疹(数mm) | 清潔を保ち経過観察。抗菌薬入りの軟膏を塗布 |
| 小さな癤(2cm未満、発熱なし) | 温罨法(1日3〜4回)で自然排膿を待つ [4] |
| 赤みが限局していて広がらない | 清潔保持+抗菌薬軟膏で2〜3日経過観察 |
状態対応
毛穴を中心とした小さな赤い丘疹(数mm)
清潔を保ち経過観察。抗菌薬入りの軟膏を塗布
小さな癤(2cm未満、発熱なし)
温罨法(1日3〜4回)で自然排膿を待つ [4]
赤みが限局していて広がらない
清潔保持+抗菌薬軟膏で2〜3日経過観察
| 症状 | 緊急度 | 理由 |
|---|---|---|
| 腫れが3cm以上に大きくなった | 当日〜翌日受診 | 切開排膿が必要な可能性 [4] |
| 2〜3日の経過観察で改善しない | 当日〜翌日受診 | 抗菌薬が必要な可能性 [4] |
| 発熱を伴う | 当日受診 | 蜂窩織炎や菌血症の可能性 [8] |
| 赤みが急速に広がる | すぐに受診 | 蜂窩織炎の可能性 [8] |
| 顔面(特に目の周り)にできた | 当日受診 | 合併症リスクが高い [9] |
| 繰り返す(年に数回以上) | 近日中に受診 | MRSA保菌やその他の検査が必要 [5] |
| 赤い線が体の中心に向かって広がる | すぐに受診 | リンパ管炎の可能性 [8] |
| ぐったりしている、機嫌がとても悪い | 救急受診 | 敗血症の可能性 |
症状
ぐったりしている、機嫌がとても悪い
緊急度
救急受診
理由
敗血症の可能性
とびひ(Vol.52参照)も含めて、皮膚の細菌感染症は"清潔""傷口の保護""掻き壊さない"の3つが予防の基本です [1]。迷ったときは受診していただくのが一番安心です。"こんなことで受診していいのかな"と思わず、遠慮なくご相談くださいね
まとめ#
- 毛嚢炎は毛穴に細菌(主に黄色ブドウ球菌)が感染して起こる。軽症は自然治癒するが、悪化すると癤(おでき)や癰に進展する [1]
- 癤は自分で潰さない。温罨法で自然排膿を促し、改善しなければ受診して切開排膿を受ける [4]
- 市中感染型MRSA(CA-MRSA)が増加。通常の抗菌薬が効かない皮膚感染症に注意 [5][6]
- 蜂窩織炎は皮膚の深い層に広がる感染症。発赤が急速に広がる・発熱がある場合は早急に受診 [8][9]
- 予防の基本は手洗い・爪を短く切る・傷口の清潔保持。タオルの共有を避ける [1][7]