読み進めた見出しを、この端末にしおりとして記録します。
「ずっと熱が下がらない」「首のリンパ節がすごく腫れている」、こうしたお子さんが外来にいらっしゃると、EBウイルスによる伝染性単核球症を疑うことがあります。
あまり聞き慣れない名前かもしれませんが、実は日本人の95%以上が成人までに感染するほどありふれたウイルスです [1]。今回は、EBウイルス感染症について詳しくお伝えします。

EBウイルスって何ですか?どうやってうつるのですか?#
EBウイルスって初めて聞きました。珍しい病気ですか?
実はとても身近なウイルスです。Epstein-Barrウイルス(EBV)はヘルペスウイルス科に属するDNAウイルスで、別名ヒトヘルペスウイルス4型(HHV-4)とも呼ばれます [1]
| 経路 | 説明 |
|---|---|
| 唾液感染 | 最も多い。食器の共有、親の口移しなど |
| 飛沫感染 | 咳やくしゃみによる近距離での伝播 |
| その他 | 輸血、臓器移植(まれ) |
経路説明
唾液感染
最も多い。食器の共有、親の口移しなど
飛沫感染
咳やくしゃみによる近距離での伝播
その他
輸血、臓器移植(まれ)
海外では"Kissing Disease(キスの病気)"とも呼ばれますが、日本では乳幼児期に家族内で唾液を介して感染するケースがほとんどです [2]。3歳までに約70%が感染するとされています

伝染性単核球症って、どんな症状が出ますか?#
EBウイルスに感染すると、必ず症状が出るのですか?
年齢によって大きく異なります [3]。乳幼児期の初感染は不顕性感染(症状が出ない)か軽い風邪症状で済むことが多いです。一方、思春期以降に初めて感染すると、伝染性単核球症(IM)として発症しやすくなります [3]
| 症状 | 頻度・特徴 |
|---|---|
| 発熱 | 1〜2週間持続する高熱(38〜40度) |
| 咽頭痛・扁桃炎 | 扁桃に白い膿が付着し、強い痛み |
| 頸部リンパ節腫脹 | 特に後頸部のリンパ節が目立つ |
| 肝脾腫 | 肝臓・脾臓の腫大(約50%) [4] |
| 皮疹 | 約10〜15%に出現 |
| 眼瞼浮腫 | まぶたのむくみ(特徴的) |
| 倦怠感 | 数週間〜数ヶ月続くことも |
症状頻度・特徴
発熱
1〜2週間持続する高熱(38〜40度)
咽頭痛・扁桃炎
扁桃に白い膿が付着し、強い痛み
頸部リンパ節腫脹
特に後頸部のリンパ節が目立つ
肝脾腫
肝臓・脾臓の腫大(約50%) [4]
皮疹
約10〜15%に出現
眼瞼浮腫
まぶたのむくみ(特徴的)
倦怠感
数週間〜数ヶ月続くことも
特に注意が必要なのはアモキシシリンなどのペニシリン系抗生物質を投与すると、高率(70〜100%)で皮疹が出現することです [4]。溶連菌と誤診して抗生物質を処方され、全身に発疹が出て初めてIMと気づくケースも少なくありません

どんな検査で診断するのですか?#
溶連菌のように迅速検査で分かりますか?
溶連菌ほど簡単ではありませんが、いくつかの検査を組み合わせて診断します [5]
小さいお子さんでは異好抗体が陰性のことが多いので、EBウイルス特異抗体(VCA-IgM、VCA-IgG、EBNA)の組み合わせで判断します [6]。検査結果が揃うまで1週間ほどかかることもあります

治療法はありますか?特効薬はあるのですか?#
抗生物質で治りますか?
EBウイルスはウイルスですので、抗生物質は効きません。現在のところ特効薬はなく、対症療法が中心です [7]
治療の基本 [7]:
| 対応 | 内容 |
|---|---|
| 安静・休養 | 十分な休息が最も重要 |
| 解熱鎮痛薬 | アセトアミノフェン(カロナール)で発熱・咽頭痛を緩和 |
| 水分補給 | 喉が痛くても少量ずつこまめに |
| 入院適応 | 経口摂取困難、気道狭窄、脾腫が著しい場合 |
対応内容
安静・休養
十分な休息が最も重要
解熱鎮痛薬
アセトアミノフェン(カロナール)で発熱・咽頭痛を緩和
水分補給
喉が痛くても少量ずつこまめに
入院適応
経口摂取困難、気道狭窄、脾腫が著しい場合
最も注意すべきは脾臓の腫大です。脾臓が腫れている間に腹部への衝撃を受けると、脾臓破裂という命に関わる合併症を起こす可能性があります [7]。そのため脾腫がある間は、激しい運動や接触スポーツを4〜6週間控えるよう指導しています
4〜6週間って、けっこう長いですね…
お気持ちはわかりますが、脾臓破裂は非常に危険です。超音波検査で脾臓の大きさを確認しながら、運動再開の時期を判断しますので、焦らずいきましょう [7]

後遺症や合併症はありますか?#
長引くと聞きましたが、後遺症が残ることはありますか?
ほとんどのお子さんは2〜4週間で回復します [3]。ただし、倦怠感が数ヶ月続くこともあります。まれですが、以下のような合併症に注意が必要です [7][8]
慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)は非常にまれですが、発熱・肝障害・リンパ節腫脹が6ヶ月以上持続する場合に疑います [8]。造血幹細胞移植が唯一の根治的治療法です。通常のIMとは全く別の病態ですので、過度な心配は不要ですが、症状が長引く場合は主治医にご相談ください
まとめ#
- EBウイルスは唾液感染で広がり、日本人の95%以上が成人までに感染 [1][2]
- 乳幼児は無症状〜軽症、思春期以降は伝染性単核球症として発症 [3]
- 発熱・咽頭痛・リンパ節腫脹が3大症状 [3][4]
- ペニシリン系抗生物質で皮疹が出るため投与しない [4]
- 脾腫がある間は激しい運動を4〜6週間控える [7]
- ほとんどは2〜4週間で回復する [3]